Apollo Manroku

2010年以前に書いた記事の過去ログ

交渉人の悲劇(7) – 人と人 2009年4月10日

Filed under: Second Life — アポロ @ 23:32

マイヤーさんは占いの館にまだいるようだったので、お隣さんにノートカードを送ったことを報告しました。

「とりあえず、お隣さんのオーナーにノートカードを送ってきました。」

「どんなノートカードを書いたんですか?」

気になって仕方がないという感じです。

「かなりの長文。」

私はあえて、その内容には触れませんでした。そもそも、つい先ほど話していたばかりのことなのですから説明するほどのことではないはずです。おそらくマイヤーさんは、私が書いたノートカードをそのまま読みたいということを遠まわしに言っていたのでしょう。私は、ノートカードを見せるつもりはありませんでした。話し合いを放棄したマイヤーさんに、この件についてとやかく言う権利などありません。

「ちなみに、この件とは関係ないですが、すでに上野シムの区長さんにもノートカードを送ってます。上野シムがあまりにもひとけがなくて寂しいので、もっと盛り上げていきましょうってね。お隣さんとの交流もその一環ですよ。セカンドライフは人と人との関わりが何より重要です。」

「へええ……。(上野には)区長がいるんだ ^^;

「そう。」

マイヤーさんは長いこと上野の住人だったはずですが、ご近所の住人と一切交流がなかったばかりでなく、区長が存在していたということすら知らなかったようです。

「本当は、住人でないと意見する権利はないと思うけどね。ここの区長、かなり雰囲気のいい土地を持ってますよ。五区画ほど上野でレンタルしています。和風に統一されたエリアになっててね、ショッピングモールも和風。でも、せっかくすばらしい場所があっても、人がいなかったら無意味ですからね。」

「へええ」

「人を集めるために、その辺で占いをやってもいいですかって、お願いしてみた。空き地があちこちにあるでしょ。それとか、路上とか、そういった場所で占いをやっててもいいかって感じで。区長ならそのくらいのことを許可する権限はあるかも。」

「www」

「ここの目の前にもいくつか空き地があるでしょ。」

「はい」

「ああいった場所、ほっとくのはもったいない。」

「へ? なんで? なんにつかうの?」

「そんな難しい理屈なんてないですよ。」

「wwwww」

「ただ、空き地を空き地のままにしておくのはもったいないと思っただけです。あまりにも殺風景ですからね。」

「なるほど」

「何もなければ、人も集まりませんしね。土地があって、物があって、そして、人がいる。それが、理想の世界ですよ。最後の『』が最も重要ですが。」

「建物があるってことは、それだけここに見えない人がいると思えばw」

マイヤーさんは、誰もいない空間でも、そこに人がいると想像すればいいと言いたかったのでしょうか。そんなことだから、生身の人間との交流を恐れるようになってしまうのでしょう。想像しただけの人間は、決してこちらに危害を加えることもなく、絶対に安全でしょうから。

「それじゃダメなんですよ。」

マイヤーさんのような考え方は、このセカンドライフの世界をダメにしてしまう原因の一つです。誰もいない世界で「誰かいる」と想像して済ませられるのなら、オフラインでも楽しめる一人用のロールプレイングゲームでもやっていればいいのです。

「シムがどんどん消えてゆく……。それは、人がいないからです。」

「コミュニケーションをする場はあるでしょ?」

「場所だけあっても、そこに人がいなければ意味がありません。」

必要なのは場所や物ではなく「人」なのだと話しているのに、マイヤーさんには理解できないのだろうか。

「お隣の秋葉シムみたいに、ただ人が集まってカオスな状態になっていればいいというものでもないし……。たった二人いればいいんです。自分と、誰かもう一人。そうすれば、コミュニケーションが成立する。」

「カップの2だねw」

珍しく占い師らしいことを言う。余計なツッコミだとは思いましたが、そういうことを言ってくれた方がまだ安心できます。一般常識に関してはてんでだめなマイヤーさんでも、占い師としてなら、まだ尊敬に値する存在でした。

その後、話題は変わり、セカンドライフ内の占い関連のお店などを見に行こうという話になりました。それもまた単にマイヤーさんの思いつきに過ぎず、深い意味はなかったのか、あるいは、まだ作りかけの占いの館の参考にでもしようと思ったのか、何の説明もなかったのですが、とりあえず私も付き合うことにしました。セカンドライフ ガイドなどで検索し、いくつかのお店にテレポートしてみました。

「花占庭」というお店に着くと、ノートカードを配布していたので、受け取って読んでみました。そこには、所属している占い師の名前の中にメイシュエさんの名がありました。

「この、メイシュエって人とは話したことはある。マイヤーさんも、私のブログを見たでしょ。」

私は以前、この人のことをブログに書いたことがあるのですが、マイヤーさんは、私と初めて会った時には既にその記事を読んだことがあったらしく、私の名前を覚えていてくれたのです。

「ご紹介いただけますか?」

「いや、私はかなり嫌われてるから……。」

「え、なんでw」

「フレンドの登録をお願いしてきたくせにオンライン状態は常に非通知にしてるし、グループにも強制登録したくせに勝手に向こうから登録削除してきたし……。一言くらい何か言ってからにしろよっていつも思うよ。黙ってやるから気分悪い。」

メイシュエさんはつい最近までフレンド登録を残してあったのですが、先日、渋谷海浜公園のフレンドを整理したときに、ついでに削除してしまいました。普段から会うこともなく、連絡を取り合うこともないフレンドなど残しておいても意味がありません。

「まあ、ここにいない人のことをとやかく言うもんじゃないですけどね。」

うっかり陰口を滑らせたことを少し反省しました。言うなら本人の前でと、いつも思います。私も、自分のことを陰でいろいろ言われるのは不愉快ですからね。

次にたどり着いたのは、滝の流れる非常に美しい場所でした。土地情報などを調べていてようやく気づいたのですが、そこはファルスさんの土地でした。最近は全くお付き合いがなかったのですが、いつの間にかこのような美しい場所を作り上げていたようです。

「ああ、ここファルスさんのところだ。」

「おしりあいですか?」

「まあ、知り合いです。」

メイシュエさんに続き、ファルスさんか……。いずれもマイヤーさんが検索して見つけた場所で、私はただ付いてきただけなのですが、偶然とはいえ、過去のあまり思い出したくない知り合いの場所をめぐることになってしまいました。

「ファルスさんとはご無沙汰していて、フレだけど、もうずっと連絡は取ってないです。」

「そうでしたかー」

「ここには来た覚えはないですけどね。」

ここは新しく作った場所なのか、それとも、以前からある場所に手を加えただけなのか、私にはよくわかりませんでした。ただ、その造りは美しく、精巧で、手間隙かけて作られていることがうかがえました。ファルスさんはここまでする人だったのかと、目を疑うほどです。

「全く、ここまで造りこまれると、嫉妬する以外に何もできませんね。」

「ほめてるんですかそれw」

「どう評価したらいいかは、迷いますよ。……私の好みは、この前お話したように、修道院や茶室のような、何もないシンプルなところ。いろいろありすぎるのもどうかと。」

それからしばらくは二人とも黙ったまま、ファルスさんの造った庭や建物の中を見て回っていました。マイヤーさんが上野に建てた占いの館とは比べ物になりません。これほどまでの完成度の高い世界を見せ付けられ、はたしてマイヤーさんはどう感じていたのでしょう。

「さて、帰って続きをつくりますね」

やはり、感性を刺激され、制作意欲を掻き立てられたのでしょうか。

「ここに感化されたとしたら、いったい何ができるのやら……。小手先の技巧に頼らず、しっかりと立体的に作り上げているところがすごい。かなり、緻密に出来上がっている。」

一応、私なりに正当な評価をしてみる。ただし……

「あとは……『』なんだけどね。」

やはり、ここにも人は誰もいませんでした。時間帯にもよるのでしょうが、私たちはかなり長い時間ここに留まっていたものの、その間、他の訪問者を見かけることはありませんでした。どんなに手間隙かけて美しい場所を作り上げたとしても、そこに人がいなければ何の意味もない……。

「知ってる方なんですよね?」

マイヤーさんは、私がファルスさんと本当に知り合いなのかということを確認したかったようです。

「ファルスさんともうずっと連絡を取っていないというのは……」

「はい」

「あの人は物ばかり見ていて、人を見ない人だからですよ。」

「へ」

誠意の感じられないムカつく返事だ。

「(ファルスさんの)物づくりはすごい。でも、人への関心がない。だから、私は無視されっぱなしという感じかな。」

「さみしいんすかw」

「そうですよ。」

「www」

「人というのは、そういうものです。」

「はい」

少しはまともに聞く気になったか。

「最近の世の中は、そういうことをおろそかにしがちだから、つまらない犯罪が増えてる……。秋葉原の無差別殺傷事件のときから、ずっと思ってるんですよ。……人は、寂しいんだって。」

「自立も依存もほどがよろしいということでw」

あなただって、旦那さんに依存しきっているではありませんか。そのおかげで、あなたはどうにかまともに社会生活を送っていられるのかもしれませんが……。

「その寂しさをわかってあげられる人がいなかったから、あの人は、秋葉で暴れるしかなかったんだろうなって……。私は同情してます。」

「なぜわかってもらえないままだったかについては?」

「いずれにしても、無視、無関心は良くない。そこそこに、コミュニケーションは必要ですよ。」

「極端にはなりすぎないのがよいかと ^^

「そうです。」

その通りです。極端になり過ぎなければいい。他人とはほどほどの距離を保ってお付き合いをすればいいということなのです。あなたのように、お隣さんとのお付き合いを完全にシャットアウトしているような人が言える立場にはないと思いますが。

 

口論」へ続く

 

© 2009 アポロのタロット占い

 

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